逃げたくて。
 
ただ、逃げたくて。
 
現実という悪夢から逃れたくて。
 
僕は走っていた。
速く。速く。誰よりも速く。
 
風よりも、雨よりも、雲よりも。
 

僕の、このたった一つしかない体から
精一杯の唄を叫ぼう。
 
赤い赤い唄を叫ぶよ。
本当の自分を自分で絶って
溢れ、こぼれる命を天高く上げて
僕は空へと舞い上がる。
 
 
堕ちていくのも

きっとこの星。

きっとこの地球(ほし)。
 
きっとひとりぼっち。