「出席とるぞー。足立、伊藤、市川…」

不思議だった。
忘れていたはずの名簿番号。
スラスラと出て来るのだ。頭では忘れたと思っていたが
脳は覚えていた。

「早瀬」

早瀬を見る。

「はい。」



その瞬間だけ、俺らはあの日、あの頃に戻れた気がした。



「ひろや先生は今、どこのクラスの担任?」

「2年D組だよ。早瀬たちの学年とは、真逆で、
とっても静かで真面目なクラスだよ。」

「すいませんでした~」

早瀬の表情はコロコロ変わる。
見ていて飽きない。

「ただ、お前らみたいに、意見がなかなか言えない生徒が多いかな?」

ぶつかるのが怖くてなかなか前へ踏み出せない生徒たち。
それを支えるのが俺らの役目なのだが、
なかなか難しい。

人間とはそういう生き物だ。