「おばけ、出たらどうしよう。」


「大丈夫、おばけなんて出ないよ。」


「でも、殺されちゃうよ...」


「うん。
でも、殺されても寂しくないよ。
怖くないよ。
だって多分その時はボクも蒼ちゃんと一緒に殺されちゃうから。
そしたら蒼ちゃんはひとりじゃないし、怖くないよ。」


そう言って、私の手を握ってくれた。


おばけがいると信じていた、
両親がいなくて寂しがっていた、
私の手を。


私はその後すぐに安心して、
眠りについた。


零くんは私の中で、小さくてとても立派なヒーローだった。