ふたりは壁にもたれかかって、
空を仰いでいた。


なぜか悲しそうな表情をした零くんと、
どこか遠くを淋しそうに見つめる夏川くん。


どれくらい、
私はそうやって二人を見ていたのだろう。


夏川くんが私に気づいたらしく、
笑顔になって私に手を振ってくれた。


私も小さく、手を振り返す。


それほど親しくもないのに、
手を振ってくれたことが、少し嬉しかった。


大勢の人に囲まれるのは嫌だけど、
1対1のコミュニケーションは好きだ。