思い出したように、明美が口を開く。


「葵と言えば、おまわり持ってきてくれた?」


「一応おばさんに借りては来たけど、いいのか?結婚式に遺影なんか飾って。」


「いいの。葵にも祝ってほしいし、彼も良いっていってくれたから。それに自分だってやったじゃない。」


そう言って明美は、笑った。


「あれは、俺が嫁に話したら、嫁が飾れって言ったんだよ。あっ、そう言えば、おばさんもおじさんも泣いて喜んでたぞ」

「よかった…葵祝ってくれるよね?」


「当たり前だろ。」


こうしてみんなで笑えるのも、葵の生き方に教えられたからだ。


葵を想って泣く日はもうないけれど、俺たちの心に、いつまでも葵は生き続ける。


俺たちはこの広い空のしたで、葵を中心に繋がってる。


これから先、ずっと…。



[完]