真顔でそういう明美に、もう1年前の面影はなかった。


ちゃんと成長してんだな。


止まってるのは俺だけか?


「私ね、今でも葵の携帯に、電話やメールしちゃうの。繋がるはずもないのに。葵の声が聞こえてきそうな気がして。」


お前もか…。


「でも…もうこんなことやめようと思うの。なんだか葵に失礼な気がするから。」


「失礼?」


「だって葵は、和美さんが死んでから、苦しみながらも前に進もうとしてた…けど私たちはずっと、ここに留まったまま。あの日から変わらないまま。それって、頑張って前を向こうとしてた葵に、すごく失礼だと思わない?」


そこまで考えてたのか?


俺は、考えたことなんかなかった。