葵の葬儀の日、葵のお母さんが一冊の日記帳を手渡してくれた。


日記帳には、たくさんの『ありがとう』と『幸せ』が並んでいた。


私たちにあてたありがとう。


みんながいて幸せ。


葵の最後の言葉を思い出す。


『ありがとう…出会ってくれて。』


昨日のことのように、鮮明に思い出せるのに、それを言ったのは昨日なんかじゃなくて、もっと昔。


その日記を読みながら、私も美紀も、おまわりも泣いていた。

葵…会いたいよ。


今すぐ起きてよ。


いつもみたいに『おはよ』って笑っていってよ。


さよならなんか出来るわけない。


会いたいよ…今すぐ。