先に部屋に戻ると、美紀はテレビを見ながら歌っていた。


ちょうど子供向けの歌番組が始まっていた。


「…おかえり」


私の顔を見ても、明美は何も触れてこなかった。


何かを悟っているかのように。

「去年強盗があったの覚えてる?18のやつがおこしたってやつ。」


「ん〜あっあったねぇ。未成年が起こした事件だっただけに、すごい話題だったよね。親までバッシングされて。たしか妹も色々噂たてられてたよね。」


「…その写真のやつだよ。事件起こしたのはその子の兄貴」


「えっ!?あっ私…。」


「それでさ…自殺したんだ。あることないこと言われて高校も落とされて。」


「うそ…」


「そいつは別の世界で幸せになるって言って死んだ。だから幸せ探しのたびに出たって言ったんだよ。」


「ごめん…私無神経だったね」

「知ってたならな。」


明美はそれきり黙ってしまった。


美紀がテレビに会わせて歌う声が聞こえてくる。


「美紀歌うまいねぇ。」


「美紀この歌好き。」


「そうか。」


「飯できたぞ。」


タイミングが良いのか悪いのか、お巡りが皿に入った料理を運んできた。