適当に買い物を済ませて、お巡りが台所にたつ。


今考えたら、昨日知り合ったばっかの男の家に上がり込むってかなり危なくないか?


私はそっと横にたった。


「手伝ってくれんのか?」


気づいたお巡りが声をかけてくる。


「…ねぇ、犯罪を起こした人は絶対に幸せになっちゃいけないのかな?」


「誰にだって幸せになる権利はある…いやっ権利なんかじゃなくて義務だな。どんな極悪人だってちゃんと反省すれば、幸せになれるんだよ。」


「…じゃぁその身内は?」


「身内ならなおさらだろ。直接何かをした訳じゃないんだし関係ないじゃん…どうした?」


「去年親友が自殺した。兄貴が強盗して、友達は離れていって、決まってた高校も落とされた。就職しようとしても、中学生が就職なんかできるわけなくて、理由を説明するたびに落とされた。」


「…そうか。」


「和美はなにもしてないのに。あいつは私に言ったんだ。
この世界では幸せになれそうにないから、別の世界で幸せ探すって。死ぬ気だってわかってた…けど止められなかった。止めちゃいけないきがした。止めたらそれこそ和美を不幸にするだけだって思えて。」


お巡りはただ黙って聞いていた。


いつのまにか手は止まっていた。


「この世界で幸せになっちゃいけないのかなぁ。兄貴がたった一度犯罪を起こしたくらいで、人生壊さなきゃいけなかったのかな。」


自然に涙が流れる。


でも今の私にそれを拭う気力はない。