静かな車内に、バスのエンジン音だけが鳴り響いていた。 「今日は楽しかった」 「あたしも…」 自然と二人の声も小さくなる。 静かな空間と揺れるバスが心地良くて、再び眠気に襲われる。 「寝ていいよ」 ウトウトしたあたしに気づいて、蓮が優しく声を掛けてくれる。 あたしは蓮の言葉に甘えて目を閉じると、 そっと体を引き寄せられ、蓮の肩にあたしの体を預ける体勢になった。 子供を寝かしつけるように、蓮は優しく一定のリズムであたしの肩を叩いていく。 蓮は時々、凄く優しい。