試合をしていない女子は、みんな隣のコートを見ているし、 試合中の子でさえ、よそ見をしている。 神谷 蓮は体育館にいる全員の注目の的…。 「ちょっとハードル上がり過ぎだね」 「そうだね…」 あたしは、息を飲み込んで頷く。 この注目に気づいていないのだろうか…。 蓮は怠そうに伸びをして、欠伸をする。 注目を集めたまま、ジャンプボールで試合が始まる。 敵も味方も激しく動く中、蓮は突っ立ったままだった。 たまに、動いても歩くだけ…。