足元に転がったバレーボールを男子生徒が拾い上げる。



「あっ、立花くん」


「はい、ボール」


「ありがと」



立花くんが投げたボールを、あたしは抱え込むように受け取る。



立花くんとは、二年生の時に同じクラスメイトだった。



今は隣のクラスなので、体育とかは一緒の授業。



頭が良くて、運動ができて、顔も良くて、


それなのに、変に気取ってなくて、誰にでも気さくに接してくれる。



爽やかな優等生って感じの人。



「あたしもバスケがよかったなぁ」


「佐藤さんはバスケ得意なの?」


「全然…バレーは手が痛くなるから、バスケの方がまだマシってだけ」


「そっか」



立花くんは、反応に困ったように苦笑いする。