蓮に優しくされると、余計に涙が止まらなくなる。 「奈緒ちゃん、泣き止んだらいいものをあげるよ」 「何…?」 「手を出して」 「何なの?」 あたしは涙を拭う左手を、蓮に差し出す。 「そっちじゃなくて…」 上を向いたあたしの手のひらを、なぜか蓮はひっくり返した。 蓮はあたしの指に何かをはめる。 あたしの左手の薬指に、ガラスのハートの指輪がはめられていた。 「どうして…」 「お礼は、お姫様とのキスでいいよ」 そう言うと、蓮はあたしにキスをした。