痛みを堪えて顔を上げると、ちょうど船が出発したところだった。 「ちょっと!待って!!」 そんな事を言ったって、船は止まってくれるはずもなく、どんどん遠ざかっていく。 蓮の姿も見当たらない。 たぶん先に乗り込んだんだろう…。 あぁ…。 せっかく蓮がチケットを用意してくれたのに…。 あたしって、最低だよね…。 「ごめん…蓮」 痛みも交じって、涙が出てくる。 辺りが明るくなると、もの凄い音が心臓に響く。 見上げると、空に花火が上がっていた。