あたし達は少し早めに家を出て、出店を歩いて回る事にした。



「奈緒ちゃんは、毎年花火見にくるの?」


「そうだね。友達と一緒に」



あたしはリンゴ飴で、蓮はフランクフルトを買って歩いた。



とりあえず明美や立花くんに出会わない事を祈ろう…。



でも、こうして浴衣姿で二人で歩いていると、本当のカップルみたいでちょっぴり照れる。



「何か欲しい物があったら言って、俺が奢るから」


「どうしたの?やけに気前がいいじゃん」


「バイト代を前借りしてきたから」


「ホントにいいの?」


「あぁ、いいよ」


蓮がにっこりと微笑む。