「奈緒ちゃん、ちょっといい?」


ドアの向こうで、蓮の声がした。



慌ててベッドから飛び起きて、髪を整える。



って…ダメだ。


もっと自然体で接しないと…。



「大丈夫だよ」


整えた髪を気にせず、あたしは再びベッドに寝転がる。



「奈緒ちゃんって花火大会行く?」


蓮はドアを開けるなり、そんなことを言った。



「えっ、なんで…?」


「屋形船のチケット」


蓮は紙切れを、ひらひらと揺らした。