「神谷くんはぁー?」


明美が手をうちわ代わりにして、尋ねてくる。



「バイト始めたらしいよ」


夏休みに入って、蓮はコンビニでバイトを始めていた。



「じゃあ、会えないの!?」


「明美は神谷くんの事で、頭がいっぱいなわけ?」


陽子が完全に呆れている。



あたし逹は三人で、高校生活最後の夏休みを満喫する為の計画を立てていた。



あたしの家に集まろうと明美が言い出したのには、不順な動機が含まれていたみたい…。



「現実は厳しいね」


「っていうか、受験勉強もしないといけないしね」


「夏期講習もあるし」



三人で合わせたように、同時にため息をついた。