「奈緒ちゃんは、俺から離れないでくれよ」 あたしを抱く蓮の声は、震えていた。 「ズルいよ…」 そんな事を言われたら… あたしは蓮を、もう好きになってしまったんだから…。 「ごめん…俺はズルくて弱いんだ」 「蓮は…あたしのこと、好きじゃないんだよね?」 蓮は何も応えてくれなかった。 ただ、あたしを強く抱きしめるだけ…。 蓮の腕があたしの体を締めつけて、痛くて苦しい。 でも… それ以上に、あたしの胸は痛くて苦しかった…。