廊下を歩く度に、コソコソと女の子が後ろ指を差す。



何を喋っているのかは、だいたい想像できた。



「気にしないの、そのうち元に戻るから」


「ありがと…陽子」



陽子が言ってくれた『そのうち』っていうのは、いつ来るんだろう…。



次の日も、その次の日も状況は変わらなかった。



『何か調子に乗ってない?』


『蓮って呼び捨てらしいよ』


『不釣り合いでしょ』



聞きたくなくても、そんな声が耳に入る。



どうやら…蓮とは何でもないと言った、あたしの言葉は逆効果だったらしい。