一瞬だけ、命をください

『そーいえば、今日千早がね…』

潮が話をし出した瞬間、淕がうずくまった。

『淕!どうしたの!?』
『大丈夫。ありがとう』
『でも…』

『本当に大丈夫だから』
“しまった”
と淕は思った。
今があの事を潮に話すチャンスだったのに…

潮が差し伸べてくれた手を借りて、淕は立ち上がった。
まだ少しだけズキズキする胸に片手を当てて歩いていく。