一瞬だけ、命をください

『ね、綺麗でしょ』

語りかけた返事のように、部屋に涼しい風が入ってくる。


ガチャ

郵便受けに何かが入った音だ。
大学の合格通知かー


ゆっくりと立ち上がって、外に出る。

今日は、怖いくらいいい天気だ。

恐る恐る、手紙の封を開ける。

“合否通知”

潮は、思わず唾を飲んだ。
そして、2つ折りの紙を開く…




“合格”


『嘘…やった…やったぁ!やったぁ!淕!私、合格したよ!』

真っ先に、淕の写真に向かって叫ぶ。



『良かったね。潮』



『えっ……?』

潮の後ろから聞こえてくる、どこか懐かしい声。














『淕…?』


後ろを振り替えるとそこには、潮に満面の笑みを向ける、淕の姿があった。


『淕!』

思わず飛びつく。

『合格、おめでとう』

『うん。ありがとう』

瞳を閉じる。
次開けたとき、もう淕が居なくても、この時を永遠に続けられるなら、構わない。


『一度しかない奇跡も、淕となら何度でも感じられるよ。だからもう…離れないで…!』


『あぁ、ずっとここに。潮のそばにいるよ』





潮の頬に涙がつたう。


その時、涼しい風と共に、イチョウの葉が一枚、部屋に入った。