一瞬だけ、命をください

それから2週間後。

潮がオーストラリアから帰ってきた。

『淕、ただいま!』

『あ、おかえり』

淕はベッドにいた。以前よりも、もうすでに弱々しくなっていた。
話し声も小さかった。

『これ、淕にお土産。何だと思う?』

『コアラのぬいぐるみか何か?』

『あ、正解~。何でわかるの~』

『潮が考えてることなんて、全部わかるよ(笑)』

淕にお土産を渡す。
潮は、いつの間にか淕の手を握りしめていた。
急に怖くなった。
今すぐにでも、淕が消えてしまいそうで怖かった。

『潮…?』

『…ごめん』

『えっ?』

『私、帰るね。明日の学校の宿題、やってないし。…また来るね!』

まるで逃げるように、潮は淕の病室から出た。
投げやりにしてきてしまった。
淕はどんな顔をしていたのだろう。

“もう少し、強くならなくてはいけない”
と、潮は思った。

明日は、ちゃんと向き合おう。
そう、決意した。

その明日、何が起きるかなど知らずにー。