一瞬だけ、命をください

『陸~!』
学校帰りの潮が陸の病室に通う。

外はもう、紅葉の葉に色がつき始めている。

イチョウなど、とっくの昔にただの寒そうな木と化しているだろう。

『来年もイチョウ、綺麗だといいね』
病室の花を取りかえながら潮が言う。
しかし、陸は気づいていた。

『もういない』
病室に響く陸の声。怖いほど静まりかえっていた。

『えっ?』

『来年のイチョウの季節にはもう、俺はこの世には居ないんだ』

“あ、時間が止まった”
陸の言葉だけが宙に浮いていた。

陸は言われていた
『半年以下の命だ』
とー。

持っていた花瓶を置いて、潮が陸の手り、目を見つめた。

『どうしてそうやって諦めるの!大丈夫、私がきっと陸を守るから』

出た。潮の口癖“大丈夫”。

本当に大丈夫な訳などない。
でも、

『大丈夫、大丈夫』
呪文のように繰り返せば、本当に大丈夫なのでは…















とは、思えない………か……。