重い扉に手をかける。


まあ、確かに入りづらいけれども。

携帯は持って帰りたいし。



扉を開けると、緑の上履きの男子生徒の背中が目に入った。


音楽室に入って真正面に置かれているピアノの鍵盤に向かって立っている。


緑色の上履きが示すのは、彼が三年生ということ。


きっと音大を受ける先輩なんだな。



そう思いながら授業で座った机に向かう。