「ってごめん、
俺、そろそろ帰んなきゃいけない」


「あっ、ごめんなさいっ

邪魔してしまって…」


貴重な練習時間の邪魔をしてしまった…

三年生だから忙しいはず…


「いや、平気平気!
レッスンまでの時間潰しなだけだから。」


「レッスンて…」


「声楽習ってるんだ。
俺、音大目指してるからさ。
声楽科。」


習ってるんだ…


「頑張ってください!」


「ありがとう。
じゃ、またね、部長!」



そう言って笑って、先輩はちょっと走って音楽室を後にした。