「成海〜やっぱお前すげ−や」 またスタートラインに戻るために歩いていたら 篤志が隣にきた。 「恋だな」 「んあ?」 「恋の力だ。成海!あははっ!!」 ……こいつ何言ってんだ。 「んな訳ねぇだろ。実力だ。 ほら、あとダッシュ5本行くぞ」 「はぁ?2本じゃねぇの?」 なんだよなんだよとぶつぶつ言っている篤志の腕を 俺はまた引っ張った。 こうして いつものように練習メニューをこなし、 空が夕焼け色に染まってきた頃、 また音楽室を見上げたら、 もう、桜木はいなかった。