「こっち見てんな」
「篤志…あんま見んなよ」
「成海を見てんじゃね?」
「篤志かもしれね−だろ。
それにグラウンドには陸部以外にもサッカー野球テニス…」
「わかったわかった。
ほら順番きたぜ」
篤志に肩を叩かれて、スタートラインに立った。
横目でもう一度校舎を見てみたら、
やっぱりまだ桜木がこっちを見ていた。
ピッ!!!
ホイッスルが鳴り、
俺と篤志はダッシュした。
くっそ
篤志には絶対負けね−
俺はぶっちぎりでゴ−ルした。
「成海、最近調子いいな」
顧問の先生にそう言われて、また複雑な気分になった。
モヤモヤしているのに、
なぜか好タイムが出る。
そしてまたピアノの音がしてきた。



