真夏の雪

不意にカウンターを開けっ放しにしている事を思い出し、慌てて席を立った。


琴音「がんばっ。


急いでカウンターに戻る。

…まだ客はいない。ギリギリセーフ!

…たぶんね。



ちょうどその時扉のカランカランという音がした。


雪斗「いらっしゃーい!今日は俺のパン屋に来てくれてサンキュー!


鈴「……。
たたいま、ユキさん。


ひかれたな…今のは。
やめときゃよかったかも。


雪斗「おお?お帰り!絵、うまく書けたか?

照れ隠しに声を張ってみた。


鈴「あれっ、私ユキさんにいった?


雪斗「ああ…琴音さんに聞いた。



鈴「そうなんですかっ。完成したら、是非ユキさんにも見てほしいですっ。



雪斗「それまでこの町にいるかなぁ…?
うーん。


鈴「え…?


雪斗「嘘だよ、気が変わった。
琴音さんが良くなるまではいてやるぜ。…鈴が良ければだけど。


鈴「はいっ、いてください。絵が完成するまで!


雪斗「ま、気長に待つよ。


鈴「必ず完成させますっ。
……きっと。




鈴の最後の言葉は。
耳をすまさなければ…消えてしまいそうな…

でも力強い一言だった。


続く…