真夏の雪


扉を開けると琴音さんはファンシーな布団で寝そべっていた。

部屋のピンクさにも驚いたが、それよりも琴音さんがかなりつらそうな表情をしている。


雪斗「琴音さん、お粥作ったぜ。


琴音「ユキさんありがとぉ…。

雪斗「食べさしてやるよ。

言ってからかなり恥ずかしい事を言ってる事に気がついた。


琴音「あーん。

しかし、本人に羞恥心のかけらも無かったけど。


琴音「…おいしぃ~♪どうやって作ったんですかぁ~?


雪斗「そりゃあカレーあんパンと同じく企業秘密だ。

カレーあんパンってネーミングの時点で秘密もくそもねーけど。

琴音「残念んん~っ。

…本当に残念そうだな。


おもしれ~…。


雪斗「そういや、鈴って部活何してるんだ?


…少し、琴音さんの表情が変わった気がした。


琴音「絵を…書いてるの。


雪斗「…絵?わざわざ学校で一人で書かないで家で書きゃいいじゃねーか。


琴音「駄目なの。学校の風景じゃなきゃ…。


学校の風景…俺は中退したからそんなもんの大事さは分からない。

けど、鈴にとってはとても大事な事なんだろう。


雪斗「…やべ!店ほったらかしだった!