真夏の雪

満足したのか、パタパタと部屋に戻っていく琴音さん。



雪斗「……似合うかな?


横に飾ってある鏡でチェックする。


ファッションショーのように体を斜に構えポーズをとったり…
上目使いにしてみたりした。


雪斗「…似合うじゃねーか。

がぜんやる気が出てきた俺は、張り切ってあんパン屋の歌の制作にかかった。


だが…っ


…目の前のパン達がちらつく。

う…うまそう…。

今日まだ何も食ってねぇし…


一個くらい…。


雪斗「うおぉぉっ!


俺は叫びながらギターを淫らにひきならした。

雪斗「商品に手を出すのはいけないぜ。客のもんだしな。


…俺はあんパンの誘惑に打ち勝った。


しかし…


それから数時間たった今…


お昼をすぎても誰も入りすらしなかった…

と言うか人すら通ってない。


この町はちゃんと機能しているのだろうか…?


その時カランカランと入り口の方から音がした。


雪斗「…いらっしゃいませ。
それでは一曲…聞いてください。
あんパン時雨。


高橋「だあっはっはっはぁー!?なにしてんの?山田!

雪斗「名字はやめろって!

伸彦「おー雪斗。

雪斗「呼び捨てかい!