真夏の雪


バタン…カランカラン。

扉は音を立てて閉まった。

雪斗「……フッ。


音が鳴れば出せば良いんだよな?

それまで暇だな…。あんパン屋の歌でもつくるか。


カウンターに置いてある椅子に座り…
紙とペンを引き出しから探り出した。


紙に向かってペンを走らせる俺。


…しまった!鈴のあんパン癖が移った!



ピヨピヨピヨ!!!

奇怪な音があんパン屋にこだましてる…

…タイマーってこの音のことか?



雪斗「オーブン開けりゃあ良いんだよな?
……どれを?


たくさんありすぎて分からん!


適当に取っ手をとり引っ張ってみた。

雪斗「ふんっ!
…あっっちぃ!!


開かなかった上にちょっと火傷した。


ピヨピヨピヨ!!!


雪斗「くそ!俺のゴットハンドが!

ピヨピヨピヨ!!!

雪斗「うるせー!


そう言うと音は止んだ。


女「これはね~安全装置を~はずさないとぉ開きませんよぉ~。

雪斗「………。

俺はなんとも言えぬ顔で、マスクを口に付けたユルすぎる女の人の顔を見た。


俺が苦戦を強いられていたあんパンマッシーンをいとも簡単に開け、あんパン達は店頭に並べられている。