真夏の雪

右手側にシャッターの開いてる店があった。

明かりも漏れてるし看板もある。

間違いない。
あれはパン屋だ!

何故なら看板に『神崎パン』と書いてあるからだ。


とりあえず入ろう。カランカランと音がする扉を押して入る。


鈴「いらっしゃいませ。

雪斗「…あれ?


鈴「あ、ユキさんこんにちは。

雪斗「お、おう。

一瞬戸惑った。
鈴んちだったとは…

雪斗「パン屋だったのか…。


鈴「あ、はいっ…。

なんか元気がなさげな気がする…


鈴は潤んだ眼差しでこっちを黙視していた。


…パン選びにくいんですけど。


雪斗「…何?

耐えきれず聞いちまった…。


鈴「……。

ぐっと、目をつぶって首を激しく横に振る鈴。

雪斗「あ、そう。


俺はパンに視線を戻した。

やはりカレーパンは無視出来ないな…
いや…

あえてとなりの新商品…カレーあんパンに挑んでみるか…?

鈴「……。


雪斗「……。


視線が痛い。


雪斗「何だよ!


鈴「あ、あの…っ。

顔が泣きそうになっていた。


やべえ…強く言い過ぎたか?


雪斗「…どうしたんだ?

なんとなくフォローを入れる俺。