アッ君がいなくなるのを確かめると、二人はニヤニヤしながら、私を見た。

「どうしたの?二人とも、ニヤニヤして、気持ち悪いよ」

二人は顔を見合わせて頷いた。

そして、私の耳元で、ヨウコが囁いた。

「ミキティーってさ、アッシーと付き合ってるでしょ?」

私はビックリして、椅子から落ちた。

ミヤコが笑いながら、手を差し出した。

「ミキティー、大丈夫。私もヨウコも、先生大好きだから、ナイショにしておいてあげる」

「ちょっと、二人とも…」

私は、二人を廊下に連れ出した。

そして、小声で呟いた。

「いつから知ってたの?」

「えーっとね…前々から怪しいって、話してたんだけど、昨日、二人で夜、街をブラついてたら、ミキティーとアッシーそっくりな人を見つけて、後つけたの。それで、こっそり近くまでいって、二人の顔をバッチリ見たってわけ」

私の子が、みるみる青くなっていくのを見たヨウコは、私の手を取ると、

「大丈夫、信じて。私もミヤコも、本当に誰にも話す気ないし。先生たちが、ゴールインするまで、見守ってるよ」

ミヤコも笑顔で頷いた。

私は二人の気持ちが嬉しくて、抱きついた。

「ありがとう」

「ヨシヨシ。ミキティーって、ほんと、先生っぽくないよね。…まあ、そこが好きなんだけど」

 その日の夜、私はアッ君に、今日の出来事を話した。

「エッ、マジで?…でも、二人が黙っててくれるって言うんだから、信じよ」

「うん…バレたのが、あの二人でよかった」

その時は、後々、とんでもないことになるなんて、思ってもいなかった。

あれから何日か過ぎ、週末を迎えた。

今週末は、何も予定がない。

…どうしよう。空と、あんな約束をしたけど、やっぱり会うのは気が引ける。

♪~♪~

携帯のメールの着信音が聞こえてきた。

…空からだった

『今日、行っちゃダメ?…英語でわからないとこがあるから、教えてもらいたいんだけど』

…勉強を教えてあげるだけなら、いいかな。私は、空に返信した。

『今日は暇だから、いつでも、おいで』

メールから30分後、玄関のチャイムが鳴った。

~空~

本当は、英語は得意なんだけど、先生の担当が英語だから、オレはウソをついた。

…先生に会う理由がほしかったから。