「美空、こらこら、紙を口に入れちゃダメだよ」

良は、美空のくわえた紙を取った。

「名刺・・・」

その名刺を見て、良の頭の中は、真っ白になっていた。

私は身支度を済ませ、リビングに向かった。

良は私に気が付くと、慌てて名刺をポケットにしまった。

「良、どうしたの?」

「いや…なんでもないよ。準備できた?」

「うん…ところで、どこ行くの?」

「ちょっとね…」

走り出した車の中で、良は一言もしゃべらない。

私は何だか不安になって、美空をギュッとだきしめていた。

しばらくして、良が口を開いた。

「聞きたいことがあるんだけど…」

「何?」

「美空の父親と、初めて会ったのって、どこ?」

「なんで、急に、そんなこと聞くの?」

「…いいから」

「学校・・・だけど」

「よし…行き先変更」

「え??」

良は、急に車をUターンさせた。



着いたところは、働いていた学校の前だった。