空は一瞬ビックリしたけど、私をギュッと抱きしめた。

「でも…」

「でも…何?」

「私は、空と付き合うなんて、できない」

「何・・で、そんな…」

「私には、彼氏がいる」

「オレのこと、好きだって言ってくれたのに。アイツのとこなんて、行くなよ」

空の目が潤んでいる。

・・ちゃんと言わなきゃ。

「ゴメンね。空…どんなに好きでも、傍にはいられない。…私、空が卒業する3月に、学校を辞めるの」

「エッ、それって・・・」

「前田先生と、結婚するの…」

私の精一杯のウソ…

「き、聞きたくない。そんなこと」

空はそのまま部屋を出て行った。

…これで、よかったんだよね。

私はドアを見つめたまま、泣き続けた。

 次の日、私は学校を休んだ。

1日中泣き続けて、目が腫れ上がり、学校どころじゃなかった。

夕方、心配したアッ君が家を訪ねてきたけど、ドアを開けず、帰した。

「スゴイ顔・・・明日は、学校に行かないと・・ね」

鏡を覗きながら、呟いた。