美月は
頭を抱えて苦しんでいた。
すると
答えが出たのか
口元をを歪ませた。
『暁を殺せば分かるさ。』
そう言って
美月は襲い掛かった。
「ごめんね、美月。」
暁の頬には
一筋の涙が伝っていた。
『暁?』
私は一瞬迷った。
初めて見た暁の涙
このままでいいのか?と…
そして迷った私には
隙が出来た。
暁は、それを見逃さなかった。
グサッ
刀が刺さる音がした。
肉を裂く音がした。
命を奪う音がした。
暁の刀が
私の心臓を貫いていた。
ドサッ
力の入らない体は
立ち続ける事が出来なかった。
「美月!」
暁が私の名を呼ぶ。
なんて心地よいのだろう。
暁は私を抱き寄せ更に呼ぶ。
「美月!美月!」
今頃になって
私は理解した。
『私は、人ではないのだな。』
「思い出したの?美月。」
『ああ。』
「そうだよ、
美月は人じゃない。」
『そして、
暁は私の家来じゃなく…』
「主だよ、美月のね。
全て、美月の思い込みだよ。
諏訪家を殺したのは美月、
契約を結んだのは俺、
美月はそれらを
都合よく解釈してたんだよ。」
『…。』
「美月のこうだっていう
思い込みを実行していただけ。」
『そ…か…
私は…とんだ馬鹿…だな。
化物の…私は…何の意味も…
無いことを…していたのか。』
だんだんと呼吸が
浅くなってきている美月。
「そんなこと無い!」
泣きそうに
なりながら見守る暁
『な…ぜ…そ…言える?』
「俺は救われたから。」
『あ…か…つき…
お前は…私の…
最…後の理性…だった。』
美月は暁の頬に手をそえる。
その手をしっかりと掴む暁。
「ほんとに?」
『わ…しの…こころ
…みちて…るよ、あ…り…がっ
突然抜けた手の力
冷たくなっていく美月の手
「全然…聞こえない…美月。」
涙を堪えて暁は言った。
