その時
私はまだ12歳だった。
私は
諏訪家の家来の家系にいた。
その諏訪家というのは
実は鬼の一族なのだ。
鬼といっても
諏訪家は気性は穏やかで
昔話に出てくる様な鬼とは
全くもって異なっていた。
人との違いは
長生きなことと
容姿が美しいこと
そして
人の生き血を喰らうこと
殺してしまう訳ではなく
食事として
少し飲む程度のものらしい。
幼き頃から
主こそが生きる意味だと
教えられてきた。
その事自体は
嫌ではなくむしろ嬉しかった。
兄や姉が自分の主の話を
しているときは
いつも楽しそうだったから。
私もそんな風になるんだと思い
修行に耐えていたあの頃
事件は起きた。
