楠さんの恋人!




……――飴って!


予想外過ぎるんですけど。

笑っちゃいそうになるのを
必死で押さえる。


「はい、どうぞ。」


そう言い差し出されたのは
さっき渡したはずの飴の袋。


ぽかんとしたまま停止する私を見て、

先生はもしかして…
と言った顔をする。


「嫌い…ですか?」


「えっ、あぁ、いえ…!
ありがとうございます…」


「どういたしまして。」


袋を受け取り
私が飴を選び終わると
また元の所に戻すよう促し、

青信号に変わったため
再び車を発信させた。




なに、今の。


ちょっと……ずるい。


そう思いながら
貰った飴を口に含み
窓ガラスに反射して映る先生を
見つめてみる……