ドアノブに手をかけようとすると
突然、手を掴まれる。
何だろ?と思い振り返ると、
「家まで送ります。
危ないですから。」
先生はそう言いながら
化学準備室の照明を落とし、
白衣を脱ぎ始める。
「えっ大丈夫ですよ?」
私は慌てて首を横にふった。
夏だから外はまだ明るいし、
何より先生が優しくて
気持ち悪い……
「…楠さん、
思ってる事まるわかりです。
もっくんを楠さん家に
送りつけてあげましょうか?」
「…―すみません」
もっくんとか無理っ…!!
「とにかく送ります。
早く行きましょう。」
そう言いながら先生は
私の手を掴んだまま
歩き始めた。
