「あれ、知らん人や。ハジメマシテ、」


独特のイントネーションが私の耳を擽る。さっきから聞こえてくる森の囁きや虫の声などとは違う音で。




「………ハジメマシテ、あなたここのひと?」

「あぁ、そうやけど。おねーさんは何処の人なん?こんな夜更けにこんなド田舎に何の用?」

「……おねーさんではないかな、ここってそんなに田舎なんだ、」

「へぇー、俺19やねん。あんたは?」

「………17。ふたつ違いだったんだ。」



すると、青年は驚いた顔をして私をマジマジと見つめる。



「嘘やん、なんか大人っぽいわぁ〜………」

「よく言われる。」

「………ところで、こんな夜更けに何処いくん?」






__何処、に行けばいいのだろうか。





暫くして空っぽの頭が私に囁いた。



「………うみ」

「海?!」


こんな寒い時期に?


青年の顔は暗がりではあまりわからないけれど声色がそういってる気がした。



「……うん、うみに行きたい。」

口に出すと何故だか無性にいかなくてはいけない気がして、



「………どこに行けばあるかな?」


青年に問うた。