いん とれいん。



「……、一緒に海まで行ってくれて。多分ショウがいなかったら私、向き合えてなかった。」

「うん………」


ゆっくりと駅までの道のりを歩く俺たち。
その歩調のせいか口調までもがゆっくりになっている。


「……だから、ありがとう。」


そういって、満面の笑みを俺に向けた。




___ドクン、




心臓が高鳴った。
その笑みを崩さずに守るように抱きしめたい。めちゃくちゃにして黒い感情をぶつけて壊したい。
一気に俺の思考を支配した二つの思いがぶつかり合う。



「……ショウ?」


何にも話さない俺を不思議に思ったのか、俺の名を呼び斜め下から顔を覗き込んでくる。
そんな港に、腕を伸ばしかけて_____



「ったぁ!!」

「前みぃ!!こけたら俺が困るんや!!」

「……っわざわざ、デコピンすること無いじゃん!!」


額を打った。港の華奢な身体を抱きしめたい___そんなよこしまな俺の想いもついでに。


「……お別れ、だね。」


駅が見えてきたところで、急にしんみりとし出した港。
こっちだって・・・・。と思うが何も言えない。









切符を別々の方向で買って、港に渡す。
ホームへと続く階段の前に、たつ。



「___なぁ、港の名字教えてくれへん?写真集かったるから。」

「……っぷ、かったるって…、何様?」


軽く吹きだした港にチョップを入れる。


「…ったぁ…!もー…」