「ショウ、ありがとう。」
帰り道、スッキリした顔で俺に感謝の言葉を述べる、この小さな少女。
「いえいえ、」
ありきたりな言葉をニコリと笑って返す。
会話を終わらせたくなくて、少し引き気味に聞いた。
「これから、どないするん………?」
「………家、に帰ろうと思って。」
少しだけ表情を曇らした彼女に、まだ何かあるのかと思った。
まだ、成人もしていないこの小さな小さな少女はいったいいくつもの傷を抱えているんだろうと。
「ちゃんと、話さないとね。」
「………お父さんとか」
「………うん、それとお母さんのお墓参りにもいかなくちゃ。」
少しだけ、喜びを表した少女。
コノ様子だと、ずっといけてないことが分かる。
「……じゃ、電車は違うな。」
「うん、そうだね。」
そうか、もう一緒にいることは無いのだと。実感させられる。
この少女は帰るべき家があるのだと。
「……ねぇ、ショウありがとうね。」
小さな小さな呟きが隣にいる少女から聞こえてくる。


