いん とれいん。



「__だから、嫌いになったの。」



撮ることも、撮った写真も。



「…お母さん、私のコト恨んでない?」


__嗚呼、何を言っているの?




と聞こえてきそうなほど、私の弱い声。
生前の母なら笑って、こう言うだろう。


『馬鹿ねぇ、誰が愛する子供を怨むものですか』


ケラケラと、こっちがすねるくらい笑って。
そして、私を抱きしめるの。



『大好きよ』



って、それが母の愛。私を愛すると言ってくれたお母さんの愛し方。
ずっと、分かっていたはずなのに。


信じれなかったんだ。






「私ね、撮ることが大好きだよ。」


__だから、お母さん笑って?






「……撮るよ!」



カメラで、海と空を映す。
何も、こめない。ただ、この感じる想いが伝わるようにそっと、願いを込めて。




___パシャッ………




波の音が静かに響いたシャッター音をかき消した。