理由なんてわからない。
ただ、ただ、嫌になった。嫌いになった。
でも、フィルムは捨てれても
「……これだけは捨てられなかった。」
抗うのをやめて、そっと“一眼レフ”を抱きしめた。
お母さんが私にくれたもの。私の大切なもの。
「……港。」
「っだからいけない!!お母さんは、私を怨んでる!!私のせいでっ!!死んじゃったから!!」
ショウの拘束が緩くなって、たまらず逃げた。
「っ港!!」
ショウが私を呼ぶけれど、止まらない。止まれない。
___ガタン、ゴトン
聞きなれたあの音が私の耳に入ってきた。
「っ・・っはぁ・・・っぁ・・・」
電車が風を纏って走ってくる。
____目の前で、電車とともに風が吹き抜けた。


