いん とれいん。



ポロポロと涙が流れる。
静かに揺れる電車がゆっくりと速度を落としていく。




「だって、だって、お母さんに何も言えない……会えない!!会えない!!」

「……港…」

「…っやだ!ショウ!!離してっ!!」

「…港っ!!」

「……っ!」


ショウが怒鳴った。



「ふざけたあかんで。港に何があったんかわからへんけどそんな風に拒んで何になんねん。」

「………」


プシューーーー……。



扉がゆっくりと開く。


「いくで」



ショウが私の腕を強く強く掴んで、外に出た。



駅に足をつけた瞬間、潮の香りが鼻を擽る。
思わず、竦む身体。



そんな私を引っ張って、歩く。



強く、強く、強く、




私を、引っ張った。