「___ほら」
当たり前のように差し出された切符に少し戸惑う。
「……お金」
リュックからお財布を出そうとしたらショウがニコッと笑った。
「いらんよ。港のおかげでバイト休めるし。正直、疲れたまっとってん!」
だから、息抜きや____
私は、ありがとう。と言って切符をもらった。
ショウはいくで、と言って私の腕をとり、走った。
「あと、1分で発車やて!急ぐで!!」
扉が閉まるギリギリで駆け込んだ。
肩で息する私とは違って涼しそうな顔で“おお!人おらんやん!”と嬉しそうに言って私の腕を取って席に座る。
___ガタン、ゴトン
次第に電車の速度が速くなっていく。
景色が次から次へと変わっていく。
窓を開ければ、爽やかな風が車内に吹き渡った。


