首からさげていた“一眼レフ”を触る。
いつまでも手放せない、いらないもの。
「……っでもそれって、自分が決めることなん?」
「……っ」
ショウが言った言葉にふと立ち止まる。
何気なく口にした言葉が私のナカを駆け巡る。
「……港?」
突然立ち止まった私を不思議に思って声をかける。
路のど真ん中で、ただ川のせせらぎだけが聞こえるなかで
ショウを見つめた。すがるような思いで。
「……なんで?なんで、そう…思うの…?」
震える声が私の心情を物語ってる。
今、“私”は震えている。
「何でって……、それを見るのは自分じゃないやん。ひと、やで?その写真の価値は人が決めるモノやん。自己評価は大切やけど、結局はひと、が評価すんねん。感じるのはひと、やねんから。」
「………そっか」
風が私たちの間を吹き抜けた。
何を言うとんねん、とキョトンとした顔のショウに私は………
「港?電車の時間迫ってるから歩くで?」
黙り込んでしまった私に問いかける。
私はコクン、と頷いて歩き出す。さっきとは違って、ショウの後ろをついて歩く。
ドクン、ドクン、と心臓が五月蠅いくらいに脈を打つ。
ショウの言葉が呪文のように私の頭の中を回っている。
ずっと、ずっと。


