ホワイトキャンバス

風呂から出た私に、その人は熱いマグカップを渡した。

甘いココアだった。


彼は何も言わない。
私はどうして良いかわからず、何か言葉を考えていた。



「あの…」

ココアをすする彼の動きが止まる。



「助けて、いただいたんですよね?」



彼は数秒、目を伏せて考えたあとに
「そうかな」
と答えた。



「どうして?」




変なことを聞いているような気がしてならない。

「あんな寒い中裸足で、あの格好でいたら凍えて死んじゃうよ」

そう言って笑った。


呆れてはいなかった感じ。



それで私も少し安心した。


「そうですよね、すいませんでした。」

私も笑った。

「じゃ、もう一回寝た方が良いから。ココア飲んだら寝なよ」

「え、あの」

「俺は床で寝るから。風呂入ってくるから、先に寝ててね」



彼は笑って洗面所の方に行ってしまった。