神の雫


鈴蘭の胸でその石がきらりと光った気がした。

鈴蘭はまるで吸い込まれるように、その石を見つめた。
まるで海の小波がきこえてきそう。

石を見ていると、心が穏やかに癒されたいくような気がして、少女はふわりと微笑んだ。


「おばあ様、ありがとう。
これからはあたしが、この石を守り、次の代に繋いでいくわ。
あ、でも、これは観ノ宮家の当主が」


「鈴蘭」

菊乃は鈴蘭の言葉を遮ると、その頬をやさしく撫でた。

「それは、もういいのです。
あなたに子供が生まれたら、その子へ。そして孫へと。あなたの愛する人へ繋いでちょうだい。
この石も、きっとそれを望むはずよ。」



「おばあ様…
はい、ありがとう、おばあ様」



鈴蘭といつの間にか小さくなってしまった大好きな祖母を抱き締めた。