誠の道ーキミと共にー

ポツリと漏らした言葉に部屋の空気がピンっと張りつめた。


そして、シュンッと風を切る音が聞こえた。


それと少し遅れて近藤さんの声。


「トシ」


なだめるような声だった。


璃桜の頬に何か生暖かいものが伝った。


いい加減にやめないか、近藤さんが土方さんに言った。


けれど、土方さんはそれを収めようとしない。



私の頬を掠めたのは土方さんの剣先で、頬をつたったのは血。


掠り傷だが、剣先で斬られたところから血が出た。



なおも睨みつける土方。


早く終わらないだろうか、そう思っていると声が聞こえた。



「さっきのは俺の不注意です。


 彼女は何も悪くない。


 刀を収めてください、土方さん」



妙に落ち着く声音だった。


あの顔とあの声、きっと世の女子たちが彼を放っておかないだろうなと思った。


土方と沖田の容姿は美しく、近藤と山南は容姿以外にも歳の差から生じるものなのだろうか、優しさや思いやり、土方、沖田にはないものを持っている。


この部屋にいる人は、絶対、女子に人気がある。


・・・性格に問題なければ。


土方は短気なところがあるし、近藤と山南は何を考えているのか読み取れない。


沖田は・・・さっきの話を聞いていると、二重人格??


なんということだ、顔は良いのに性格に問題アリなんて。


悲しいことだ。